自動車業界の2025年度4-12月期決算
政策変更と一過性費用が完成車メーカーを直撃
2026年2月16日
【ポイント1】政策影響で営業減益も、収益はボトムアウトへ
■自動車大手の25年度4-12月期決算では、全社営業減益となりました。ハイブリッドを中心に、PHEV(プラグインハイブリッド)、BEV(バッテリー式電気自動車)など電動車の販売を伸ばしたトヨタとインド市場が急回復したスズキは販売台数が増加し、日本、中国を含むアジアの販売台数減少の影響が大きいホンダ、日産の販売台数は減少しました。営業損益面では、①米国関税引き上げの影響、②円高、部品や資材コストの上昇、③品質費用、EV事業の事業再編コストのような一過性費用の発生、④中国半導体輸出規制に伴う生産台数減少、などから全社減益となりました。
■インドでは、9月22日から物品・サービス税が引き下げられることが決まり、4-9月期中に自動車の買い控えが発生していたようです。引き下げ後の販売台数は急回復し、スズキの10-12月期の販売台数はプラスとなりました。ベトナムでは、ハノイの大気汚染対策としてガソリン二輪車の乗り入れを禁止する規制が導入されることとなり、ガソリン二輪車の販売台数が急減しました。ただし、規制の輪郭が明らかになると、安心感から販売台数の減少に歯止めがかかりました。規制に対して、ホンダはEV二輪車のラインナップを拡充して対応しています。輸出規制の解除後も半導体の調達や自動車の増産には、各社、苦労しているようです。
■米国政府の関税や環境政策変更の影響を受け、ホンダ、日産は生産拠点の再編やEV販売戦略の見直しを行っています。日産は工場の再編に伴い、減損損失や従業員の特別退職加算金などの一過性の費用が発生することを公表しました。現金支出は伴いませんが、第4四半期にも特別損失として数千億円単位での費用を見込んでいます。ホンダは、4-12月期にEV関連の一過性費用として2,671億円を計上しました。第4四半期にも追加の費用が発生する模様です。ただし、2社ともに関税の引き上げの悪影響は、新車価格の引き上げや原価の削減などにより徐々に吸収されつつあり、一過性費用を除くと収益は底入れしたようです。一過性費用の発生が比較的少なかったトヨタの第3四半期の営業利益はほぼ横ばい。インド市場の急回復により、スズキは営業増益となりました。来季、巨額の一過性費用がなくなれば、日産、ホンダの利益も急回復しそうです。
【ポイント2】グループ各社の業績は、一過性の費用を除くと、順調
■トヨタグループ各社の25年度4-12月期決算では、①トヨタの生産・販売台数が増加、②ハイブリッド向けを中心に採算の良い製品の売上高構成の上昇、③原材料コストの低下、などを主要因に増益となる会社が大半でした。ただし、品質費用、エンジン認証関連費用、新車立ち上げ費用が、想定以上に膨らんだ2社が営業利益減となりました。米国の追加関税に関しては、自動車メーカーに対する値上げが進展しています。
■期初の想定以上に原価改善の進展や円安の恩恵から、ジェイテクトと豊田合成が営業利益予想を引き上げました。デンソーは、売上高は予想以上に拡大する見込みですが、想定していなかった品質費用が発生し、営業利益を下方修正しました。他のグループ会社は、4-12月期は順調としながらも、営業利益予想を据え置きました。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
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