政治イベントの通過で不確実性は徐々に低下へ
米中間選挙は民主党勝利の公算
2026年11月4日
【ポイント1】米中間選挙は、上下院ともに民主党が多数派を獲得する公算
■11月3日(米国時間)に米中間選挙が実施され、日本時間の4日午前から開票が進んでいます。日本時間午後3時時点で、民主党が上下院で勝利(多数派を獲得)する公算と報じられています。
■選挙前日(11月2日)までの予測市場における民主党の勝利確率は、今夏以降に上昇傾向にあった中、下院は90%超、上院は70%超に達していました。この点で、民主党優勢は金融市場でも一定程度織り込まれていたとみられます。
■接戦が予想されていた上院については、激戦州(アラスカ、アイオワ、メーン、オハイオ、テキサス、カンザスなど)で、どの程度獲得議席数を伸ばせるかが、市場で注目されています。
■本日(11月4日)の日本株市場は、AI・半導体関連を中心に主要指数が一時大きく下落、日経平均株価は62,188円63銭(前日比▲1.4%)、TOPIXは3,895.38ポイント(同▲0.9%)で取引を終えました。日経平均は一時6万円に迫る下落となり、時間外の先物市場では一時、3日の終値比でS&P500先物は▲1%超、ナスダック100指数先物は▲2%超の下落となるなど、4日の米国市場においてもハイテク関連株主導で株価が下落する可能性が意識されました。
■AI・半導体関連株を中心とした株価下落の背景には、AI向けデータセンターの設置規制が強化されるとの懸念から、建設の遅延や事業採算の悪化などが意識されていると考えられます。また、同時に開票が進んでいる州知事選挙においても、民主党候補の優勢が伝えられており、この点も懸念を高める一因になっていると考えられます。
■一方で、上下院で民主党が多数派を獲得した場合でも、共和党のトランプ大統領の残り2年強の任期中は、拒否権の発動によって国策であるAI推進の政策が大きく転換するとは想定しづらいとみられます。
【ポイント2】日米の企業業績見通しは改善、投資魅力度は高まっているとみられる
■一方で、日米の企業業績見通しの改善傾向は続いています。企業業績見通しを示す12カ月先予想EPSは7月以降で日本株(TOPIX)、米国株(S&P500種指数)ともに約12%上方修正され、7-9月期の決算発表が進む中でも上向きのトレンドが継続しています。
■また、米中間選挙における民主党優勢が織り込まれる形で、10月以降の株価はやや調整含みで推移してきた結果、12カ月先予想PERは日本株が14.8倍、米国株が18.3倍へ低下しており、バリュエーション面では相対的に投資魅力度が高まっているとみられます。
■米中間選挙における民主党の躍進を受けて、AI関連投資が減速するとみるのは時期尚早と考えられます。AIおよびデータセンター需要を反映していると考えられる米大手ハイテク各社のクラウド売上高は、7-9月期決算において前年同期比の成長率が加速するなど、AIの普及拡大や高度化を背景とした市場成長への期待は依然として高いと考えられます。
【今後の展開】政治イベントの通過で材料出尽くし、好業績が再評価される展開へ
■本日の日本株市場では、民主党による上下院の多数派獲得と州知事選挙における優勢が織り込まれたとみられますが、今後は開票結果の動向を巡って、米国株市場も短期的には変動率の高い展開が見込まれます。ただし、日米ともに好調な企業業績見通しと相対的に割安となったバリュエーションが支えとなり、株価の調整が長期化する可能性は高くないとみられます。
■大統領が強い権限を有する米国においては、選挙結果にかかわらず政治イベントの通過による不確実性の低下が、年末に向けて再評価(株価上昇)につながる可能性もあるとみられます。また、市場では米国がイランへの軍事圧力を強めるとの見方が広がる一方で、今回の選挙で共和党にとって逆風となったガソリン・軽油価格の上昇を抑制するべく、外交的な解決に向けた取り組みが進むかどうかも注目点とみられます。
シニアマーケットストラテジスト
久髙一也(ひさたか かずや)
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