2026年3月18日
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩
【市川レポート】イラン情勢に関するシナリオの点検と日経平均株価の方向性
●米国・イスラエルとイランとの間で紛争が続いており現時点で早期に収束する気配はみられていない。
●イラン情勢は当面膠着のシナリオか、原油価格が急騰しなければ日経平均の下値不安は後退へ。
●日経平均は目先、53,300円水準を割り込むことなく、54,900円水準を回復できるかが焦点に。
米国・イスラエルとイランとの間で紛争が続いており現時点で早期に収束する気配はみられていない
今回のレポートでは、イラン情勢に関するシナリオを点検し、日経平均株価の方向性について考えます。まず、直近のイラン情勢を踏まえて、3月5日付レポートで説明した、3つのシナリオを点検します。具体的には、①紛争が短期間で収束するシナリオ、②膠着状態が継続するシナリオ、③衝突が拡大・長期化し、原油価格が急騰するシナリオ、この3つのシナリオです。
直近では、米国が3月13日にイランの石油積み出し拠点のあるカーグ島を攻撃すると、イランは攻撃がアラブ首長国連邦(UAE)から実行されたとし、UAEの石油輸出拠点であるフジャイラ港を報復攻撃しました。また、イスラエルは16日から17日にかけてイランに大規模な空爆を行うなど、米国・イスラエルとイランとの間で紛争が続いており、収束する気配はみられません。
イラン情勢は当面膠着のシナリオか、原油価格が急騰しなければ日経平均の下値不安は後退へ
さらに、ロイター通信は3月17日、イランが仲介国を通じて提示された米国との緊張緩和案を拒否したと報じており、停戦の見通しが立たないなか、1つ目のシナリオの実現は、やや難しくなりつつあります。なお、このところ複数のタンカーがホルムズ海峡を通過したとの報道もありますが、平時の状態には程遠く、足元のWTI原油先物価格も、1バレル=90ドル台後半で高止まりしています。
これらを踏まえると、イラン情勢は当面、2つ目の膠着状態が継続するシナリオに沿った展開が予想されます。この場合は原油価格の動きが重要です。ホルムズ海峡の通航量の回復には時間を要する見通しですが、原油価格が急騰しなければ、株式市場は徐々にイラン情勢の膠着化という材料を消化し、水準の切り上がった原油価格を所与の条件として価格形成を行い、日経平均の下値不安は時間の経過とともに後退していくと思われます。
日経平均は目先、53,300円水準を割り込むことなく、54,900円水準を回復できるかが焦点に
3つ目のシナリオは、株式市場にとって避けたいシナリオですが、年内に米国は中間選挙、イスラエルは総選挙を控え、イランも国内経済の疲弊を踏まえると、それぞれ衝突の拡大・長期化は避けたい意向があると推測され、シナリオ実現の恐れは小さいと考えます。また、トランプ氏が米国経済や中間選挙への影響を考慮し、イラン攻撃の方針を急遽変更した場合、株価の急反発も予想されるため、トランプ氏の言動も引き続き注目されます。
弊社は年末の日経平均は61,500円との見方を維持していますが、シナリオ2における日経平均は、しばらく不安定な動きが見込まれます。なお、3月10日付レポートで触れた日足の一目均衡表をみると、日経平均は雲にサポートされていることが分かります(図表1)。目先は、日経平均が雲の下限近辺の53,300円水準を大きく割り込むことなく、雲の上限近辺の54,900円水準をしっかり回復できるかが焦点になると思われます(図表2)。



