ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目韓国株乱高下の背景と日本株に影響が及ぶ仕組みについて

2026年7月16日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】韓国株乱高下の背景と日本株に影響が及ぶ仕組みについて

●足元の韓国株ボラティリティ上昇の主因は、5月に登場した個別銘柄のレバレッジ型ETFとの声も。
●サムスン電子とSKハイニックスの株価変動が、レバレッジ型ETFによって増幅されKOSPIが乱高下。
●日韓半導体関連銘柄の下落は、業績ではなくレバレッジ型ETFが主因、好業績確認なら反発も。

足元の韓国株ボラティリティ上昇の主因は、5月に登場した個別銘柄のレバレッジ型ETFとの声も

日経平均株価はこのところ、乱高下が続く韓国総合株価指数(KOSPI)との連動性が高まっており、不安定な動きを余儀なくされています。そこで今回のレポートでは、KOSPIのボラティリティ(変動率)上昇の背景と、それが日経平均に影響する仕組みについて考えます。韓国では5月27日、個別銘柄を対象にしたレバレッジ型の上場投資信託(ETF)が登場し、これがKOSPIの高い変動率を生んでいるとの声が多く聞かれます。


このレバレッジ型ETFが対象とする個別銘柄はサムスン電子とSKハイニックスで、株価が1日で2%上昇すれば、ETFの基準価額は2倍の4%上昇するように設計されており、現在8社の運用会社が手掛けています。例えば、100,000ウォンの株価が2%上昇した場合は102,000ウォンになりますが、2倍のレバレッジ型ETFは4%を確保する必要があるので102,000ウォンに2,000ウォン分を買い増す必要があり、下落の場合は逆になります。

サムスン電子とSKハイニックスの株価変動が、レバレッジ型ETFによって増幅されKOSPIが乱高下

このように、レバレッジ型ETFは、現物株の2倍の価格変動を維持するために、毎日リバランス(資産配分の再調整)を行う必要があり、「買いが買いを呼び、売りが売りを呼ぶ」という、いわば株価の増幅装置になる構造を有しています。サムスン電子とSKハイニックスの時価総額は、KOSPI全体の約5割を占めているため、2銘柄の株価の変動率はレバレッジ型ETFを通じて増幅され、KOSPIの変動率を高めているということになります。


なお、KOSPIと日経平均の日次騰落率について、①2026年1月5日からレバレッジ型ETF登場前の5月26日までと、②レバレッジ型ETFが登場した5月27日から7月15日に分けて基本統計量などを求めて比較したものが図表です。これをみると、KOSPI、日経平均とも、②は①に比べ、平均値が低下(KOSPIはマイナス)、標準偏差と分散は上昇(KOSPIは大幅上昇)しており、共分散と相関係数は両指数の連動性の高まりを示しています。

日韓半導体関連銘柄の下落は、業績ではなくレバレッジ型ETFが主因、好業績確認なら反発も

レバレッジ型ETFの登場後、KOSPIと日経平均の連動性が高まった背景には、世界中の主要な半導体関連銘柄を1つのポートフォリオとして運用しているファンドなどが、サムスン電子やSKハイニックスの急落を受け、ポートフォリオ全体のリスクを調整するため、日本や米国の半導体関連銘柄を売却する動きがあると思われます。さらに、このような流れに強い不安を抱いた国内の個人投資家なども、売りに回ったと推測されます。


ただ、日韓などの半導体関連銘柄の下落は、企業業績の悪化ではなく、レバレッジ型ETFの構造問題が主因であるため、すでに大きく下げている銘柄について、今後の決算発表で好業績が確認されれば、反発の余地は広がると考えられます。また、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は7月15日、韓国取引所にレバレッジ型ETFの対策を指示しており、韓国発の半導体関連銘柄の動揺が、長期間続く恐れは小さくなりつつあるとみています。



※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。