2026年7月29日
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩
【市川レポート】2026年7月日銀政策会合プレビュー~今回の注目点を整理する
●政策金利の据え置きは織り込み済み、タカ派の高田委員や田村委員からの反対票有無に注目。
●展望レポートで、今年度の実質GDP見通しは上方修正、コアCPI見通しは下方修正を予想する。
●植田総裁発言に新規材料は乏しく今会合は無風通過か、弊社は12月に利上げの見方を維持。
政策金利の据え置きは織り込み済み、タカ派の高田委員や田村委員からの反対票有無に注目
日銀は7月30日、31日に金融政策決定会合を開催します。弊社は政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標について、前回6月の会合で0.75%程度から1.00%程度への引き上げが決定されたばかりであることから、経済・物価への影響を今しばらく見極めるため、今回は据え置きを予想しています。また、複数のメディアも直近で、据え置きの公算が大きいと報じています。
今会合での追加利上げの見送りは、ほぼ織り込み済みと思われますが、政策委員会の委員9名のうち、タカ派とされる高田創審議委員と田村直樹審議委員が、利上げを求めて反対票を投じる可能性もあり、注意が必要です。また、今回は「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」が公表されるため、植田和男総裁の記者会見における発言とともに、市場の注目が集まっています。
展望レポートで、今年度の実質GDP見通しは上方修正、コアCPI見通しは下方修正を予想する
展望レポートは、今後の金融政策の運営を見通す上で重要な材料です。弊社は実質GDP成長率について、人工知能(AI)需要の堅調さを主因に、今年度と来年度の予想値は上方修正される可能性が高いと見込んでいます(図表1)。生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)の伸び率は、前回4月時点で夏場の電気・ガス料金の支援が前提に入っていなかったため、今年度の予想値は若干下方修正、その反動で来年度は小幅な上方修正を予想しています。
リスクバランスに関し、前回4月の展望レポートでは、「2026年度を中心に、経済の見通しについては下振れリスク、物価の見通しについては上振れリスクの方が大きい」との判断が示されました。中東情勢に不透明感は残るものの、日銀がサプライチェーン(供給網)の混乱リスクの低下を評価すれば、経済の下振れリスクを中立に戻すことも考えられます。一方、物価の上振れリスクは据え置いて、インフレ警戒姿勢を維持するとみています。
植田総裁発言に新規材料は乏しく今会合は無風通過か、弊社は12月に利上げの見方を維持
植田和男総裁の記者会見では、追加利上げの手掛かりがどの程度得られるかが焦点になると思われます。ただ、基本的には、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくという利上げ継続姿勢が明示され、利上げのペースについては、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら適切に判断するという、従来の方針が繰り返されるにとどまると考えています。
以上を踏まえると、今会合は無風通過となる公算が大きく、市場への影響は限定的と思われます。なお、市場が織り込む25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げ確率は、7月28日時点で、9月が28.2%、10月が79.4%、12月が98.5%となっています(図表2)。弊社は日銀の金融政策の見通しについて、25bpの追加利上げの時期を12月と予想しており、直近の市場の織り込み状況に違和感はありません。



