2026年8月4日
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩
【市川レポート】日経平均株価が過去に調整局面や弱気相場入りしたケースを振り返る
●過去の調整局面と弱気相場において、下落率と回復期間には必ずしも明確な関係は見当たらず。
●株価の回復速度は、株安イベント発生後の政策対応などに対する期待形成が強く影響する模様。
●今局面では業績への期待が形成され、日経平均は6カ月以内に70,000円台を回復する展開に。
過去の調整局面と弱気相場において、下落率と回復期間には必ずしも明確な関係は見当たらず
一般に、株価が直近1年間の高値から10%を超えて下落すると「調整局面」、20%を超えると「弱気相場」とされます。2015年以降の日経平均株価を検証したところ、調整局面入りは9回あり、そのうち4回が弱気相場へ発展しました(図表)。ケース9は、今年6月高値から7月安値まで15.1%下落して調整局面に入った今の状況ですが、高値は未回復で、弱気相場入りの恐れもあることから、過去の事例を踏まえ、今後のシナリオを考察します。
ケース8までの各ケースを、調整局面入りした「調整グループ」と、弱気相場入りした「弱気グループ」に分け、安値から高値までの平均回復日数をみると、前者が167.3日、後者が378.5日と、大きな差があります。ただ、前者でも回復に436日を要した例(ケース6)がある一方、後者で127日と早期に回復した例(ケース7)もあります。そのため、下落率と回復日数の間に、必ずしも明確な関係があるとは限らないように思われます。
株価の回復速度は、株安イベント発生後の政策対応などに対する期待形成が強く影響する模様
次に、回復期間を①6カ月未満、②6カ月以上1年未満、③1年以上の3つに分類し、株価の変動要因を比較しました。①では、中東情勢やトランプ関税などが株安要因となりましたが、協議進展への期待などで株価は反発しました。②では、VIX(米国株の変動性指数)ショックとその後の沈静化、コロナ・ショックとその後の政策対応が主因となりました。③では、複数の株安要因が同時に重なっている点が特徴として挙げられます。
これらを踏まえると、株価の回復速度には「期待の形成」が強く影響していると推測されます。つまり、株安をもたらすイベントが発生しても、政権の対応や政策の発動、各種協議の進展などによって解決への期待が早期に高まれば、株価は短期間で反発する可能性が高く、反対に、問題解決の見通しが立たない場合や、複数の懸念が絡み合って解消に時間を要する場合は、株価の回復期間も長期化する恐れがあります。
今局面では業績への期待が形成され、日経平均は6カ月以内に70,000円台を回復する展開に
現在のケース9における株安の主因は、人工知能(AI)・半導体関連株への集中投資の反動と考えられ、株価水準の調整一巡で、株安圧力は後退するとみています。また、今後の決算発表を通じて業績拡大への期待が形成されれば、株価は早期に回復することも見込まれます。ここから6カ月以内、日経平均の年末着地水準について、弊社は70,600円を予想しており、1年以内であれば直近高値の72,366円34銭を回復する余地は広がると思われます。
なお、今後、複数の株安要因が同時に発生し、解決への期待が形成されにくい状況が生じた場合には、直近高値の回復に1年以上の時間を要することも想定されますが、現時点でこれはリスクシナリオの位置付けです。期待形成の進展度合いや、新たな株価の変動要因に注視しつつも、基本的には、業績拡大の期待が形成され、日経平均は6カ月以内に70,000円台の回復を目指す展開がメインシナリオになると考えています。



