2026年10月27日
三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩
【市川レポート】2026年11月米中間選挙プレビュー~今回の注目点を整理する
●両院または下院の過半数が民主党となれば、追加的な財政支出は難しくなり予算審議は難航へ。
●包括的なデータセンター規制強化法は成立困難か、将来的にFRB理事ポストの空白が続くことも。
●トランプ氏は、中間選挙後も外交面でタカ派姿勢を維持、大統領弾劾は最終的な成立は難しい。
両院または下院の過半数が民主党となれば、追加的な財政支出は難しくなり予算審議は難航へ
11月3日に投開票が行われる米中間選挙まで、あと1週間となりました。弊社は選挙結果について、上下両院とも民主党が過半数議席を奪還する確率は55%、上院は共和党が過半数議席を維持し、下院のみ民主党が過半数議席を奪還する確率は45%と想定しています。以下、この想定を踏まえ、①予算審議、②人工知能(AI)・データセンター規制などの重要法案の審議、③人事、④外交・通商、⑤大統領弾劾の行方を整理します(図表)。
①について、現在、2027会計年度(2026年10月~2027年9月)の本予算は成立しておらず、12月11日までの暫定予算が成立しているのみです。上下両院ないしは下院の過半数が民主党となれば、追加的な財政支出は難しくなり、予算審議は難航が予想されます。そのため、暫定予算に依存する度合いが強まり、市場で政府機関の一部閉鎖リスクが意識されるケースが多くなると思われます。
包括的なデータセンター規制強化法は成立困難か、将来的にFRB理事ポストの空白が続くことも
②について、民主党がAI・データセンターに関する規制強化の法案を提出しても、上院の過半数が共和党の場合は上院で否決され、上下両院の過半数が民主党の場合でも、トランプ米大統領が拒否権を行使し、連邦法として成立する可能性は低いとみています。また、政府債務が2027年には法定上限に達する見通しで、上限引き上げの協議も難航が想定されますが、最終的には合意に至り、債務不履行(デフォルト)は回避されると考えます。
③について、注目されるのは米連邦準備制度理事会(FRB)理事の人事です。理事は大統領が指名し、上院が承認するため、上院の過半数が民主党となれば、トランプ氏がFRBの独立性が懸念される人物を指名した場合、民主党は承認を見送ることができます。なお、前FRB議長のパウエル理事は2028年1月31日に任期が満了するため、状況によっては、理事ポストの空白が続くことも予想されます。
トランプ氏は、中間選挙後も外交面でタカ派姿勢を維持、大統領弾劾は最終的な成立は難しい
④について、上下両院ないしは下院の過半数が民主党となれば、トランプ氏は外交や通商に注力すると思われます。2028年の大統領選挙に向け、保守派の支持を固めるため、対外的にはタカ派姿勢が維持され、イランとの戦闘終結は見通しにくい状況が続く恐れがあります。一方、中国に対しては、レアアース(希土類)問題もあり、当面は友好ムードの演出が継続されるとみています。
⑤について、民主党が下院で過半数を獲得しても、上院で出席議員3分の2以上の賛成がなければ、最終的な弾劾成立は難しい状況です。中間選挙後、市場はまず予算審議を巡る動きに警戒を強めると思われますが、最終的には両党が歩み寄り、市場の大きな混乱は避けられるとみています。なお、AI・データセンターの規制強化については、連邦法として議会で成立する可能性は低いと考えていますが、州レベルでの規制の動きには注意が必要です。


