ホームマーケット市川レポート 経済・相場のここに注目2026年11月米中間選挙レビュー~民主党勝利で金融市場はどう動くか

2026年11月5日

三井住友DSアセットマネジメント
チーフマーケットストラテジスト 市川 雅浩

【市川レポート】2026年11月米中間選挙レビュー
~民主党勝利で金融市場はどう動くか

●財政懸念後退は長期金利低下・ドル安・株高要因、景気支援不安や政府閉鎖は株安要因に。
●データセンター規制は、州レベルの動きに要注意、債務上限も懸念材料だが、デフォルトは回避へ。

●各項目の材料が重なって市場の動きは複雑に、ただ日経平均の中長期的な上昇トレンドは不変。

財政懸念後退は長期金利低下・ドル安・株高要因、景気支援不安や政府閉鎖は株安要因に

11月3日に投開票が行われた米中間選挙では、野党・民主党が連邦議会の上下両院の多数派奪還を確実にした模様です。中間選挙については、10月13日付レポート「米中間選挙の4つのシナリオとそれぞれで想定される金融市場の反応」と、10月27日付レポート「2026年11月米中間選挙プレビュー~今回の注目点を整理する」にて、事前にポイントをまとめていましたが、今回の結果を踏まえ、改めて金融市場の今後を展望します(図表)。


まず、2027会計年度(2026年10月~2027年9月)予算については、トランプ米大統領が望むような追加的な財政支出は困難となるため、財政悪化懸念が後退することで、米長期金利低下とドル安が予想されます。米国株は、長期金利低下がハイテク株の追い風になりやすい一方、景気に対する財政支援が不足するとの見方が強まった場合や、政府機関の一部閉鎖などで混乱が広がった場合は、株安の反応も想定されます。

データセンター規制は、州レベルの動きに要注意、債務上限も懸念材料だが、デフォルトは回避へ

次に、人工知能(AI)・データセンターに関する規制強化の法案については、民主党案が議会を通過しやすくなるとの見方はAI・半導体関連株の懸念材料ですが、トランプ氏が拒否権を行使する限り、連邦法としての成立は難しい状況です。しかし、州レベルでは環境規制などを通じてデータセンター投資が制約されることもあるため注意が必要です。それでも、全ての投資計画が頓挫してしまう訳ではないので、過度に悲観することはないと考えます。


また、連邦政府の債務に関しては、2027年には法定上限に達する見通しで、トランプ氏と民主党主導の議会との間で、厳しい政治的駆け引きが生じることが予想されます。上限引き上げの交渉が難航し、米政府の信用リスクが強く意識されれば、米ドル建て資産から投資マネーが流出する事態も想定されます。ただ上限の「適用停止」や「暫定延長」などの措置もあり、米国が債務不履行(デフォルト)となる事態は回避されるとみています。

各項目の材料が重なって市場の動きは複雑に、ただ日経平均の中長期的な上昇トレンドは不変

イランとの戦闘については、民主党主導の議会が戦闘継続への圧力を強めることで、原油安、米長期金利低下、ドル安、株高に振れやすくなるとみています。しかしながら、トランプ氏は軍事・外交上の権限を維持するため、イランへのタカ派姿勢を強めれば、原油高、米長期金利上昇、ドル高、株安方向の動きが予想されます。ただし、今回の敗北要因と2年後に控える大統領選挙を踏まえると、トランプ共和党に戦闘再開の利点はないように思われます。


以上、主要項目と想定される金融市場の反応を確認しましたが、各項目の材料が重なることで、金融市場の動きは複雑化し、それほど単純なものではないことが分かります。最後に、日経平均株価について、短期的にはAI投資を巡る不安から上値の重い展開も予想されるものの、ここ数年の物価と賃金の上昇、企業の資本効率改善というマクロ・ミクロの構造変化を背景とした中長期的な上昇トレンドは変わらないと考えています。