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先月のマーケットの振り返り(2026年7月)

2026年8月4日

1.概観


株式

7月の主要な株価指数は、構成銘柄が明暗を分けました。半導体、光関連などデータセンターサプライチェーン関連銘柄や決算内容が期待外れであった大手ハイテク株が利益確定売りで急落する一方、金融、医薬品などが上昇しました。出遅れていた香港ハンセン指数は、中国ハイテク企業が香港市場での資金調達を活発化したことから、金融株主導で大きく上昇しました。半導体関連株の影響が大きいナスダック100指数や上海総合指数、日経平均は下落しましたが、NYダウ、TOPIXは堅調でした。医薬品、金融セクターの上昇により、英国、ドイツ、インド市場なども上昇しました。

債券

7日のイランの船舶攻撃を機に原油価格が上昇すると、各国の長期金利は上昇しました。日銀や米連邦準備制度理事会(FRB)などの各国中央銀行は、7月の会合で政策金利を据え置きましたが、物価上昇率高止まりを受け長期金利の上昇が続きました。日本では、外国人投資家の中長期債売却が続き、長期金利上昇が続きました。

為替

日米協調の為替介入により、円高ドル安となりました。欧州投資家の半導体などデータセンター関連株に対するポジション調整が米ドル安ユーロ高要因となっているようですが、ドル売り介入の効果が大きく、円は主要通貨に対し円高となりました。豪ドル、ブラジルレアル、インドルピーなどに対しても米ドル安となっています。

商品

米国とイランの紛争の再激化から、原油価格は上昇しました。


 

2.景気動向

<現状>

●米国の26年4-6月期の実質GDP速報値の成長率は前期比年率+1.5%でした。①データセンターの設備投資向けに機器や電子部品の輸入が急増、②戦略備蓄原油の放出は政府在庫の減少要因、などが成長率の下押し要因となったようです。

●欧州(ユーロ圏)の4‐6月期実質GDP速報値の成長率は前期比年率+1.8%でした。1-3月期の成長率は▲0.9%から0.0%に上方修正されました。

●日本の1‐3月期実質GDP2次速報値の成長率は前期比年率+1.8%となりました。1次速報値の成長率は+2.1%でした。

●中国の4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.3%でした。1‐3月期の成長率は+5.0%でした。

●豪州の1-3月期の実質GDP速報値の成長率は前年同期比+2.5%でした。

<見通し>

●米国の26年の実質GDP成長率見通しを+2.2%、27年見通しを+2.0%としました。ワールドカップ効果の反動やガソリン価格の上昇などにより個人消費の加速は期待しづらいですが、発送電設備などAI関連に付随した投資が成長を牽引しそうです。データセンター向けの投資も好調ですが、構成する機器や半導体の輸入増は純輸出減少となり、GDP成長率の低下要因です。

●欧州では、26年+0.5%、27年+1.4%の実質GDP成長率見通しとしました。エネルギー価格上昇の影響で企業活動や個人消費は減速しそうですが、インフラ投資、域内防衛費の拡大など財政拡張により、安定した成長が続く見通しです。

●日本の実質GDP成長率見通しは、26年度を+0.8%、27年度を+1.1%としました。中東紛争の影響によるエネルギー価格の上昇や原油の供給制約など経済への負の影響は、政府の素早い対応により抑え込まれています。海外経済の底入れから輸出も回復していることに加え、来年には消費減税が見込まれるため、景気は成長軌道をたどる見通しです。

●中国では、26年+4.6%、27年+4.5%の実質GDP成長率を予想します。中国経済は、原油高への耐性を強めており、中東紛争の悪影響はかなりの部分が吸収可能と見られます。欧州や新興国向けEVの拡大、データセンター向けのハイテク機器の輸出増加が、景気をある程度下支えする見通しです。耐久財買い替え補助の規模縮小などから、消費の低迷は続くと予想します。

●豪州では、6月、オーストラリア準備銀行(RBA)が政策金利を据え置きました。5月の消費者物価(CPI)の上昇率が減速したことが要因と見られます。総労働時間がピークアウトするなど労働市場が調整局面入りしたことを示唆する指標も増えています。鉄鉱石などの商品市況が少し軟化しているため、インフレと利上げの効果を見極める局面に入ったようです。

3.金融政策

<現状>

●29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、3人の反対者が出ましたが、政策金利は据え置かれました。FRBの2大目標達成を支援するために、銀行システム内に充分な準備金を維持することも決めました。ウォーシュ議長は、会見で、①インフレ抑制策として、利上げだけが手段ではない、②現在発生しているエネルギーを含む供給ショックによるインフレ率加速の影響を精査中である、③米国国債利回りの上昇が引き締め効果を発揮している、などとコメントしました。中東紛争によるエネルギー価格の上昇や半導体メモリーの急騰に伴う物価上昇を利上げでは止められないと見ているようです。利上げや量的縮小を行い、他の産業分野での価格上昇を抑え込めば、企業業績や雇用情勢の悪化を招くことを警戒しているのかもしれません。

●欧州中央銀行(ECB)は、23日の会合で全会一致で、政策金利の据え置きを決定しました。6月のCPIの上昇率が予想以上に低下し、政策金利水準は抑制的な位置にあると判断したようです。「エネルギー価格上昇の影響が出きったとは見ていない」ものの、「4-6月中にインフレ率の改善が見られた」とラガルド総裁はコメントしています。

●日銀は、7月の会合で、政策金利を据え置きました。経済・物価情勢の展望では、政府による夏場のエネルギー負担緩和策(電気・ガス代)の効果を考慮し、26年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)の上昇率見通しが引き下げられました。高市政権が、骨太の方針で政府と緊密に連携することを求めたことが要因と見られます。消費税減税の消費者物価指数への影響は不透明と、物価見通しでは考慮されていないようです。

 <見通し>

●インフレ率の上振れが予想される一方で、雇用は安定的な推移が見込まれるため、FRBは9月に政策金利を0.25%引き上げると予想します。さらに10-12月期にも利上げが行われると見ています。27年には景気が安定的に推移する中で、原油安からインフレ率も低下すると見込まれるため、政策金利は据え置かれる見通しです。

●欧州では、原油価格が再び上昇したため、エネルギー価格も連動して上昇しています。インフラ投資、国防支出が増加する中で、インフレの進行が見込まれるため、26年9月に、ECBは政策金利を0.25%引き上げると予想します。

●日本では、企業が製品・サービス価格の引き上げに苦戦し、政府がエネルギーコストを抑制する政策を導入したため、消費者物価の上昇率は日銀の予想と異なり低位で推移しています。高市政権の利上げ牽制も強まっている模様で、従来よりも緩やかなペースでの利上げを予想します。次回の利上げは12月となる見込みです。

4.債券

<現状>

●米国の10年国債利回り(長期金利)は上昇しました。7日にイランがホルムズ海峡で船舶を攻撃し、双方の攻撃が激化するとともに原油価格が上昇し、長期金利も上昇しました。14日発表のCPI上昇率が予想を下回ると若干低下しましたが、中東紛争のさらなる激化とデータセンター投資の拡大報道を受け、長期金利の上昇が続きました。15日の上院銀行委員会で、ウォーシュ議長がAIによる物価圧力は「必ずしもインフレ的ではない」と証言したことも、長期金利の上昇につながったようです。

●ドイツでも長期金利は上昇しました。月初は、先月末発表のユーロ圏のインフレ率が下振れし、長期金利は低位で始まりました。しかし、労働市場統計、製造業受注などが予想を上回り、景気の底堅さが確認されると、長期金利は上昇しました。さらに、米国とイランの紛争が再び激化し原油価格が上昇すると、長期金利も上昇し、2011年以来の高水準に達しました。

●一方、日本の10年国債利回りは上昇が続きました。日銀の量的縮小政策により、元々国債需給が緩いことが主要因です。加えて、高市政権の政策対応により、CPIの上昇率が目標の2%を下回っているにもかかわらず、独自の物価上昇率を算出して利上げを行おうとする日銀への警戒感から、6月以降国外投資家による日本の中長期債の売越しが続いています。

●米国の投資適格社債については、大型起債が続き、前月比で社債利回りは上昇しました。スプレッド(国債と社債の利回り差)は、先月より若干拡大しました。大規模データセンター建設のための巨額調達が需給面での重荷になり始めたようです。

<見通し>

●米国の長期金利は上昇する見通しです。米国では雇用が底堅く推移する一方で、インフレ率の高止まりが長期化するリスクがあるため、FRBは利上げを26年内に2回行うと予想します。米国経済は利上げに対する耐性があると見られることから、景気回復が続く中、長期金利は現行水準をやや上回って推移すると予想します。

●欧州では、長期金利は緩やかに上昇する見通しです。米国の長期金利上昇がグローバルな金利裁定を通じて、欧州長期金利を緩やかに押し上げると予想します。ECBは9月に追加利上げを行う見込みですが、市場では既に織り込まれている模様です。

●日本の長期金利は上昇傾向が続くと予想します。日銀は量的引き締めを継続し、需給面から長期金利に上昇圧力がかかっています。さらに、市場に利上げ観測が残っていることや米国長期金利の上昇懸念なども長期金利の上昇要因となりそうです。

5.企業業績と株式

<現状>

●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績の見通しは堅調です。7月末の米S&P500種株価指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+24.6%、TOPIXの予想EPSは同+33.7%となりました。

●米国株式市場では、NYダウは銀行、保険など金融株、マイクロソフトなど好業績を発表した銘柄が上昇する一方で、キャタピラー、IBMなどが急落し、個別銘柄の差が大きくなりました。 S&P500種株価指数では、エネルギー、金融、ヘルスケアセクターが上昇し、テスラが属する消費財・サービスセクターやアルファベット、メタが属する通信セクターは個別銘柄要因で不振でした。フィラデルフィア半導体指数は▲20.61%下落しましたが、先月までの上昇率が低位であったブロードコム、エヌビディアはプラスで、メモリー関連や製造装置株が大きく下落しました。NYダウは前月比+0.32%上昇、一方S&P500種株価指数は▲0.13%下落しました。

●日本株式市場では、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の下落に追随する形で、半導体関連株、電子部品、電子部品材料株が下落しました。日経平均は下落しました。しかし、エネルギー、金融、自動車、商社・卸売りなど大型株が上昇し、TOPIXは若干上昇しました。日経平均は月間で▲8.14%下落する一方で、TOPIXは+0.21%上昇しました。

<見通し>

●米国株式市場は、FRBの利上げ観測が株価の重石となるものの、企業の強い設備投資意欲や堅調な雇用を背景に景気は底堅く推移するとみます。景気の回復とデータセンターやインフラ投資向けサプライチェーン企業の収益拡大により、米国企業の業績は向上し、株価を支える見込みです。ただし、①4-6月期の企業業績にはスペースXなど新興企業への投資の評価益が含まれており、反動減が懸念される、②電力不足や長期金利上昇を背景にデータセンターの投資計画が延期される、などがリスクとなりそうです。

●日本株式市場は、上昇基調が続くと予想します。電子部品、半導体関連などハイテク関連株を中心に企業業績は堅調で、日本企業も増益基調を維持できそうです。高市政権の後押しにより、賃金と物価の好循環や企業統治改革といった前向きな動きが続きそうです。リスクとしては停戦合意の破綻により、ホルムズ海峡が長期間封鎖されることが挙げられます。

                                                                                                                                                                                               

6.為替

<現状>

●円の対米ドルレートは、円高となりました。月末に、日米で円買い協調介入が行われた模様です。米政府はニューヨーク連銀を通じて、複数の銀行に追加の介入があり得ることも警告したようです。国内投資家は外国株や投信を売り越しましたが、国外中長期債の買い越しが拡大しています。国外投資家は、日銀の利上げによる損失を懸念してか、6月に入り株式・投信、中長期債共に売り越しに転じ、円安要因となっています。FOMCでFRBがインフレ抑制姿勢を見せた後は、じりじりと円安ドル高が進行しました。

●ユーロ・米ドルレートは、ユーロ高となりました。ECB、FRBともに政策金利を据え置きましたが、ECBは依然インフレ懸念があるとして次回会合での政策金利引き上げを示唆したことがユーロ高の要因と見られます。また、アジアの半導体株の下落を受けドルを通じて行われていた欧州勢のアジアエクスポージャーが解消されたこともユーロ高要因となった模様ですが、ドル売り円買い介入の効果の方が大きく、円高ユーロ安となったようです。

●豪ドル・米ドルレートは、豪ドル安となりました。RBAが政策金利を据え置きました。オーストラリアの物価上昇率が予想を下回り、金利引き上げ懸念が後退したことが要因と見られます。地理的な位置から退避先通貨、資源国通貨として保有されている豪ドルは、米国、イランの紛争激化を受け対米ドルでは堅調でした。しかし、対円では、米ドル売り介入の影響が大きく、豪ドル安となりました。

<見通し>

●円の対米ドルレートは、円安ドル高を予想します。今後、日米ともに利上げが想定されますが、日本では政府の追加利上げに対する牽制により、利上げのタイミングが後ろ倒しとなる可能性があります。また、企業の対外直接投資や外貨建て投信の購入拡大などが根強い円安要因となりそうです。

●円の対ユーロレートは、レンジ内でもみ合う展開を予想します。FRBは、堅調な雇用やインフレ率の高止まりの長期化を背景に年内2回利上げを行うと見られ、米欧の金利差から米ドル高圧力がかかりやすい展開を予想します。ただし、ユーロ圏の高水準の経常収支の黒字が支えとなり、大幅なドル高ユーロ安には至らないと見ます。同じく対米ドルで下落が予想される円に対してはユーロ高要因となる見込みです。

●円の対豪ドルレートは、やや円安を予想します。RBAは既に3回利上げを行っており、豪米の金利差は拡大しています。FRBが2回利上げを行っても、豪米の金利差は大きく、為替への影響は限定的と見ますが、FRBの利上げを契機とするグローバルな資金フローの変化には注意が必要でしょう。豪ドルは、金利差を背景に円に対しても強含む見通しです。

7.リート

<現状>

●グローバルリート市場(米ドルベース)は、長期金利の上昇にもかかわらず堅調に推移しました。米国では、オフィス、産業用(倉庫、工場など)、携帯電話向け無線基地局を主軸とするリートが上昇しました。また、高級ホテルを保有するリートも好調でした。時価総額の大きいデータセンターを運営するリートはAI関連銘柄同様に不振でした。ただし、データセンターの稼働率上昇で、業績は順調に拡大しています。豪州で時価総額最大リートであるグッドマン社の株価がガイダンス懸念から調整し、豪州市場は低調でした。欧州では、景気が想定以上に底堅いことから、リート指数が堅調な国が目立ちました。日本では、低い空室率を背景にオフィス賃料が上昇しているため、リート指数は上昇しました。香港、シンガポールのリート指数も上昇しました。

●東証では、6月、証券会社の自己取引部門、投資信託、事業法人、銀行などが買い越しました。一方、生・損保、その他金融法人(銀行、生・損保を除く)などが売り越し、外国人が大きく売り越しとなりました。

●S&Pグローバルリートインデックスの7月のリターンは前月末比+0.77%の上昇となりました。月間の換算用の円ドルレートが円高となり、円ベースのリターンは同▲0.92%となりました。

<見通し>

●グローバルリート市場は、米国の長期金利の動向に左右される状態が続きそうです。ウェイトの大きい米国で、AI投資の拡大や活用が活発化していることは、データセンターなどインフラ関連のセグメントのパフォーマンス向上に貢献しそうです。欧州および豪州など、日本以外の市場ではデータセンターは重要なセグメントとなっています。不動産のインフレヘッジ性に注目が集まっていることは、リート市場のプラス要因となりそうです。

●日本では、長期金利の上昇が重石となる一方、東京都心部のオフィスビルの空室率は低下し、賃料の上昇が続いています。都心5区の平均募集賃料は足元で増勢を強めているようです。賃料収入の増加が、リート市場を下支えしそうです。長期金利の上昇や人手不足から、住宅、オフィス共に新規着工が減少していることは、将来的には需給面でのプラス要因となりそうです。また、分配金成長目標を掲げるリートが増えていることも、リート市場の活性化につながるでしょう。

8.まとめ


債券

●米国の長期金利は上昇する見通しです。米国では雇用が底堅く推移する一方で、インフレ率の高止まりが長期化するリスクがあるため、FRBは利上げを26年内に2回行うと予想します。米国経済は利上げに対する耐性があると見られることから、景気回復が続く中、長期金利は現行水準をやや上回って推移すると予想します。

●欧州では、長期金利は緩やかに上昇する見通しです。米国の長期金利上昇がグローバルな金利裁定を通じて、欧州長期金利を緩やかに押し上げると予想します。ECBは9月に追加利上げを行う見込みですが、市場では既に織り込まれている模様です。

●日本の長期金利は上昇傾向が続くと予想します。日銀は量的引き締めを継続し、需給面から長期金利に上昇圧力がかかっています。さらに、市場に利上げ観測が残っていることや米国長期金利の上昇懸念なども長期金利の上昇要因となりそうです。

株式

●米国株式市場は、FRBの利上げ観測が株価の重石となるものの、企業の強い設備投資意欲や堅調な雇用を背景に景気は底堅く推移するとみます。景気の回復とデータセンターやインフラ投資向けサプライチェーン企業の収益拡大により、米国企業の業績は向上し、株価を支える見込みです。ただし、①4-6月期の企業業績にはスペースXなど新興企業への投資の評価益が含まれており、反動減が懸念される、②電力不足や長期金利上昇を背景にデータセンターの投資計画が延期される、などがリスクとなりそうです。

●日本株式市場は、上昇基調が続くと予想します。電子部品、半導体関連などハイテク関連株を中心に企業業績は堅調で、日本企業も増益基調を維持できそうです。高市政権の後押しにより、賃金と物価の好循環や企業統治改革といった前向きな動きが続きそうです。リスクとしては停戦合意の破綻により、ホルムズ海峡が長期間封鎖されることが挙げられます。

為替

●円の対米ドルレートは、円安ドル高を予想します。今後、日米ともに利上げが想定されますが、日本では政府の追加利上げに対する牽制により、利上げのタイミングが後ろ倒しとなる可能性があります。また、企業の対外直接投資や外貨建て投信の購入拡大などが根強い円安要因となりそうです。

●円の対ユーロレートは、レンジ内でもみ合う展開を予想します。FRBは、堅調な雇用やインフレ率の高止まりの長期化を背景に年内2回利上げを行うと見られ、米欧の金利差から米ドル高圧力がかかりやすい展開を予想します。ただし、ユーロ圏の高水準の経常収支の黒字が支えとなり、大幅なドル高ユーロ安には至らないと見ます。同じく対米ドルで下落が予想される円に対してはユーロ高要因となる見込みです。

●円の対豪ドルレートは、やや円安を予想します。RBAは既に3回利上げを行っており、豪米の金利差は拡大しています。FRBが2回利上げを行っても、豪米の金利差は大きく、為替への影響は限定的と見ますが、FRBの利上げを契機とするグローバルな資金フローの変化には注意が必要でしょう。豪ドルは、金利差を背景に円に対しても強含む見通しです。

リート

●グローバルリート市場は、米国の長期金利の動向に左右される状態が続きそうです。ウェイトの大きい米国で、AI投資の拡大や活用が活発化していることは、データセンターなどインフラ関連のセグメントのパフォーマンス向上に貢献しそうです。欧州および豪州など、日本以外の市場ではデータセンターは重要なセグメントとなっています。多くの国で、不動産のインフレヘッジ性に注目が集まっていることは、リート市場のプラス要因となりそうです。

●日本では、長期金利の上昇が重石となる一方、東京都心部のオフィスビルの空室率は低下し、賃料の上昇が続いています。都心5区の平均募集賃料は足元で増勢を強めているようです。賃料収入の増加が、リート市場を下支えしそうです。長期金利の上昇や人手不足から、住宅、オフィス共に新規着工が減少していることは、将来的には需給面でのプラス要因となりそうです。また、分配金成長目標を掲げるリートが増えていることも、リート市場の活性化につながるでしょう。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。